今回は、次世代のWeb技術として注目されているセマンティックWebと、それに関連するオントロジーの概念および関係について見ていきます。
現在よく利用されているWeb 2.0が、利用者が参加し共有する双方向コミュニケーションという特徴を持っていたとすれば、Web 3.0は、利用者に必要な情報を人工知能を備えたWebが自ら選び出して提示するものです。
ここでオントロジーは、次世代のWeb技術と呼ばれるWeb 3.0(セマンティックWeb)の土台となる中核的な概念です。オントロジーでは、単語とそれに関連する関係が階層的に構成されており、これを拡張するための推論規則も備えているため、Webとアプリケーションの間で知識を共有できるという特徴があります。
人間の言語を機械が理解できるように!
ここでいうWeb 3.0をセマンティックWebと呼び、このような技術を実現するには、まず機械が人間と同じ水準で言語を理解できるようになる必要があります。
セマンティックWebとは、人間の言語をコンピュータで表現し、それをコンピュータが利用できるようにすることで、コンピュータが情報を推論して利用者に提供する環境を指します。一方、オントロジーとは、人間が合意を通じて共通に作り上げた概念を、コンピュータで扱えるように表現したものです。
コンピュータは、ここでオントロジーによって表現された概念を用いることで、知識の獲得や情報処理ができるようになります。つまり、セマンティックWebを実現するための骨組みがオントロジーだといえます。
(セマンティックWeb:人間の言語 → オントロジー → コンピュータによる理解 → 適切な情報の提供)
オントロジーの構成要素
オントロジーの構成要素
オントロジーの構成要素は、大きくクラス、インスタンス、属性、関係に分けられます。上の画像は、この4つの要素をよりわかりやすく理解できるよう、コンピュータという事物を例に示したものです。
- クラス - 日常生活で事物や概念を呼ぶ際の名称 / 例)コンピュータ、マウス、モニター
- インスタンス - クラスをより具体的に表現した概念で、目的に応じて異なる場合がある / 例)XX ゲーミングコンピュータ、YY ワイヤレスマウス、ZZ 曲面モニター
- 属性 - クラスとインスタンスの性質を表現するために、特定の値と結び付けたもの / 例)XX ゲーミングコンピュータのグラフィックスカードには[Geforce GTX1080TI]を搭載
- 関係 - クラスとインスタンスの関係
また、オントロジーで使われる代表的な用語にはRDF、OWL、SWRLがあり、それぞれの特徴は次のとおりです。
- RDF - 一般に、概念またはインスタンスの関係を表現
- OWL - 関係インスタンス内の厳密な論理的制約条件を表現
- SWRL - 関係を推論するための規則を定義
オントロジーの活用分野
オントロジーの活用分野
現在、オントロジーを人工知能や翻訳に利用するために、多くの関心が寄せられ、取り組みが進められています。また、合意された概念であるオントロジーを活用し、ユビキタスやモノのインターネットのように互いに異なる機器を接続したり、複合的な概念が適用される電子商取引などの分野に活用したりすることもできます。
- 人工知能 - 知識の表現と活用に関する研究
- 情報検索 - 件名標目表やシソーラスなどによって不要な誤りを防ぎ、検索効率を向上
- ユビキタス - 多数の機器がインターネットを通じて動的にネットワークを形成
- 電子商取引 - コンピュータプログラムが商取引の大部分を担って処理
上記の情報検索分野で触れたシソーラスは、図書館情報学でよく取り上げられる概念です。以下の資料を参考にしてください。
オントロジーは、ある単語が持つさまざまな意味の関係を把握し、迅速で効率的な検索を行えるようにします。また、こうした関係から文脈を把握し、利用者によりよい情報を提供するための基盤となります。
また、こうした技術を活用したセマンティックWeb(Web 3.0)は、さらに一歩進んで、あらゆる情報が関係によって結び付けられた環境の中で、コンピュータ(人工知能)が利用者の求める情報を自ら探し出して提供するため、次世代のWeb環境として注目されています。
ただし、まだ多くの分野で概念についての合意が得られておらず、オントロジーの開発段階で足踏みしている状況です。こうした問題が早期に解決し、急速に発展しているWeb環境にさらに弾みをつける日が来ることを願っています。
