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主題を複数の面に切り分ける、ファセット分類(Faceted Classification)

書店で旅行書を探す場面を考えてみましょう。ある日は「日本」の旅行書を、またある日は「2020年代に出た写真中心の」旅行書を探します。ところが書架は一つの順序でしか並んでいないため、国別に探すのは簡単でも、出版年や形式で探すのは困難です。一つの主題を複数の側面に分けておき、必要なときに組み合わせる方式、それがまさに「ファセット分類(Faceted Classification)」です。

ファセット分類とは、簡単にいえば「主題を対象、材料、活動、場所、時間のように互いに重ならない複数の側面に分け、各側面の記号をつなぎ合わせて一つの分類番号を作る方式」を意味します。ファセット(Facet)は宝石をカットした一つひとつの面を指す言葉で、一つの主題をさまざまな面から照らして見るという意味が込められています。

本資料では、ファセット分類の基本概念から、ランガナタンのコロン分類法、列挙型分類との違い、そして今日の検索画面の中のファセットまで、順に見ていきます。

20世紀イギリス史の教科書を、主題「歴史 94」、場所「イギリス (410)」、時間「20世紀 "19"」、資料形式「教科書 (075)」に分析し、UDC番号94(410)"19"(075)に合成するファセット分類の図解。
ファセット分類の分析と合成:UDCにおけるイギリス史教科書の例。ファセットと組み合わせの規則は分類体系ごとに異なります。出典:UDC Consortium, UDC Structure & Tables。図解:雑学書庫。

知識を切り分け、再び組み立てる分類の原理

ファセット分類とは何か?

明るい図書館の木のテーブルで、司書が表紙のない本の山を色ごとにいくつもの小さな束に分け、そばで多くの面にカットされた宝石が光を受けている様子

図書館の分類は大きく二つの流れに分かれます。世の中の主題をあらかじめすべて並べておく方式と、主題を切り分けたうえで必要なときに組み立てる方式です。

(1) 列挙型分類(Enumerative Classification)
考えられる主題を上から下へと分けて表にすべて書き出しておき、本が入ってくるとその中から最もふさわしい欄を選ぶ方式です。表にない新しい主題が現れると、適切に収める場所がないという弱点があります。

(2) 分析合成型分類(Analytico-Synthetic Classification)
本の主題をまず複数の側面に分析し、側面ごとに定めておいた記号を規則に従って合成します。ファセット分類はこれに当たり、表になかった主題でも、断片を組み合わせて新しい番号を作ることができます。

よいファセットは、意味が明確で、互いに重ならず、すべて合わせると主題を漏れなく覆わなければなりません。時間、場所、形式のように、ほぼすべての分野で広く使われるファセットもあれば、一つの分野の中だけで使うファセットもあります。


ランガナタンのコロン分類法とPMEST

明るい机の上に、穴の開いた金属片や車輪、ねじからなる昔の組み立ておもちゃのセットと半分ほど組み立てた模型が、革の手帳や万年筆とともに置かれている様子

ファセット分類を初めて体系化したのは、図書館学の五法則で有名なインドのS. R. ランガナタン(Shiyali Ramamrita Ranganathan)です。彼は1933年にコロン分類法(Colon Classification)を刊行しましたが、ファセットの間をコロン(:)でつないだことからこの名が付きました。ロンドン留学中、部品をはめ合わせてさまざまな形を作るメカノ(Meccano)の組み立ておもちゃを見て着想を得たという逸話も伝わっています。

ランガナタンはすべての主題が五つの基本カテゴリーに分かれると考え、頭文字を取ってPMESTと呼びました。

  • 個性(Personality):その主題の中心となる対象です(例:医学における「肺」)。
  • 素材(Matter):対象の材料や性質です(例:「結核」)。
  • 活動(Energy):対象に加えられる過程や作業です(例:「治療」)。
  • 空間(Space):主題に関連する地理的な場所です(例:「インド」)。
  • 時間(Time):主題に関連する時代や年です(例:「1950年」)。

この枠組みに従えば、「1950年にインドで行われたX線を用いた肺結核治療の研究」という複雑な主題も、医学の下にPMESTの順序で記号をつなぎ合わせ、一つの分類番号で表すことができます。PMESTを定式化した第4版(1952年)からは、コロンのほかにもカンマ、セミコロン、ピリオドをファセットごとに使い分け、記号を見るだけでどの側面かを区別できるようにし、場所と共にピリオドを使っていた時間ファセットは1960年代初めにアポストロフィに改められました。


列挙型分類と何が違うのか?

明るい図書館の通路に、本が一列に長く並んだ木の書架と、色付きの仕切りで分けられた白紙の索引カードがぎっしり詰まった目録カードの引き出しが開いている様子

デューイ十進分類法(DDC)や韓国十進分類法(KDC)は基本的に列挙型ですが、地域や時代、形式を付け加える補助表を設けて、ファセットの長所を一部取り入れました。それでも二つの方式は出発点が異なります。

(1) ファセット分類の長所
新しい主題が生まれても既存の断片を組み合わせればよいため、表を大きく改める必要がありません。また主題を複数の側面で記録しておけば、利用者が国から出発しても時代から出発しても、望む順序で資料を探していくことができます。

(2) ファセット分類の限界
記号が長く複雑になり、書架に貼る請求記号として使うには不便です。ある概念が二つ以上のファセットに入り得るため、分類する人ごとに判断が分かれることもあります。そのためコロン分類法はインドの図書館を中心に使われ、世界的には列挙型の体系が今も広く使われています。

  • 分類研究グループ(Classification Research Group):1952年にイギリスで結成された研究会で、ランガナタンの考えを受け継ぎ、専門分野向けのファセット分類を数多く開発しました。

検索画面の中でよみがえったファセット

明るいカフェのテーブルで、一人の女性がノートパソコンで、左側のチェックボックスや色付きのバー型フィルターの横に商品や本の表紙の画像が格子状に並んだ検索画面を見ている様子

本一冊は書架の一か所にしか置けませんが、デジタル目録では一つの資料に複数のファセットを同時に付けることができます。おかげで、書架では不便だったファセット分類の考え方が、検索画面で再び力を得ました。

  • ファセット検索(Faceted Search):検索結果の横に主題、著者、年、言語といったファセットの一覧と項目ごとの資料数を示し、利用者が一つずつ選んで結果を絞り込めるようにします。今日の図書館の目録検索画面でよく見かけます。
  • オンラインショッピングモール(Online Shopping Mall):価格帯、ブランド、色、サイズといったフィルターを順に選ぶ画面も、ファセット分類の原理をそのまま踏襲しています。
  • 国際十進分類法(Universal Decimal Classification):言語、形式、場所、時間といったファセットごとに固有の記号を設け、デューイ系の分類に組み合わせの柔軟さを加えました。

ファセット分類は、主題をあらかじめ決めておいた欄にはめ込む代わりに、複数の側面に分けておき、必要に応じて再び組み立てる分類方式です。ランガナタンのコロン分類法から始まったこの考え方は、書架の上では複雑だと評されましたが、今日では図書館の検索やショッピングモールのフィルターの中で毎日使われています。

情報を一列に並べる前に、それが持つさまざまな顔をまず見ること、それこそが望む資料をすばやく見つける情報組織化の第一歩です。