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次は違うはずという思い込み、ギャンブラーの誤謬(Gambler's Fallacy)

コインを投げて、五回連続で表が出たとしましょう。六回目には、どちらに賭けたくなりますか。多くの人は「そろそろ裏が出る番だ」と感じます。表が出すぎたのだから、釣り合いを取るには裏が出なければならないように思えるからです。

しかし、コインはそれまでに何が起きたかを覚えていません。六回目も、表と裏が出る確率は等しく半分です。このように、互いに影響を与えない事象について、過去の結果が次の結果を変えると信じる誤った考えを「ギャンブラーの誤謬(Gambler's Fallacy)」と呼びます。

本資料では、ギャンブラーの誤謬とは何か、私たちはなぜこのような思い込みに陥るのか、日常ではどのような形で現れるのか、そしてそれを避ける方法まで、順を追って見ていきます。


ギャンブラーの誤謬を理解する

過去の結果が次を変えるという思い込み

公平で各試行が独立したコインによる、ギャンブラーの誤謬の説明図。すでに観察された五回の表から、六回目の試行の表と裏へ二方向に矢印が伸び、それぞれ確率1/2と表示されている。そろそろ裏が出る番だという思い込みと、実際の確率を比較している。下部には雑学書庫の公式ロゴがある。
公平なコインを互いに独立して投げるという条件では、表が五回連続で出た後も、次に表と裏が出る確率はそれぞれ1/2である。観察された連続する結果を用いた、確率の概念の例である。
明るい部屋の木のテーブルの上で、銀色のコインをはじき上げる手

ギャンブラーの誤謬を理解するには、まず「独立事象」という概念を知る必要があります。独立事象とは、ある事象の結果が別の事象の確率にまったく影響しない場合を指します。コイン投げ、サイコロ振り、ルーレットが代表例です。サイコロを十回振って6が一度も出なかったとしても、次に6が出る確率は、依然として6分の1です。

もちろん、コインを十回投げて、十回とも表が出る確率は1,024分の1と、非常に低いものです。しかし、これはまだ一度も投げていない時点での計算です。すでに九回連続で表が出た後なら、残る一回で表が出る確率は、単に2分の1にすぎません。また、十回とも表という結果の確率は、表と裏が混ざったほかのどの特定の並びとも等しく、1,024分の1です。私たちの目には特別に見えるだけで、確率の上では特別ではないのです。

この誤謬は「モンテカルロの誤謬」とも呼ばれます。1913年8月18日、モナコのモンテカルロ・カジノでルーレットの球が26回連続で黒に入り、人々が今度こそ赤が出ると大金を賭けて失ったという話に由来する名前です。ただし、当時の1次記録が確認されていないため、実際に起きた出来事かどうかは明らかではなく、確率を説明する有名な例として広く伝えられています。


私たちはなぜこのような思い込みに陥るのか

明るく照らされたカジノのテーブルで、白い球が転がるルーレットのホイール

ギャンブラーの誤謬には、いくつかの心理的な原因が重なっています。

(1)少数の法則
心理学者のエイモス・トベルスキー(Amos Tversky)とダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)は、1971年、人々には少ない回数の結果にも全体の比率がそのまま現れるはずだと信じる傾向があることを明らかにしました。大数の法則は、非常に多くの試行を重ねて初めて平均が期待値に近づくという意味ですが、それをわずか数回の試行にも当てはめようとするのです。

(2)ランダムさに対する誤ったイメージ
人々は、ランダムなら表と裏が均等に混ざって出るはずだと考えます。そのため、同じ結果が続くと、何かがおかしいと感じます。しかし、実際のランダムな結果では、同じ結果が続く区間が思った以上に頻繁に現れます。

(3)釣り合いを求める気持ち
これまでの損失を次の一回で取り戻せると信じたい気持ちも、この思い込みを強めます。特にお金がかかっている状況では、こうした期待がいっそう強くなります。


日常に見られるギャンブラーの誤謬

明るい食卓で、宝くじのような用紙と鉛筆を見つめながら考え込む人

ギャンブラーの誤謬は、カジノの外でもよく見られます。

  • 宝くじ(Lottery):長い間当選していない番号がそろそろ出ると信じて、その番号を選ぶことがあります。しかし、毎回の抽選で、どの番号も確率は同じです。
  • 子どもの性別(Sex of a Child):娘ばかり三人いる親が、今度は息子である確率が高いと期待することもありますが、それまでに生まれた子どもの性別は、次の子どもに影響を与えません。
  • 投資(Investment):株価が何日も続けて下がったのだから、そろそろ上がる頃だと判断するのも、同じような思い込みから生じることがあります。

反対方向の思い込みもあります。バスケットボールでシュートを続けて決めた選手は、次のシュートも決めると信じる「ホットハンド(Hot Hand)」現象です。ギャンブラーの誤謬が「そろそろ変わる番だ」と信じるのに対し、ホットハンドは「この流れが続く」と信じるという点で、両者は正反対です。


思い込みを避ける方法

日差しの入る机で、一組のサイコロとコーヒーのそばでノートに書き込む人

ギャンブラーの誤謬を避ける第一歩は、今扱っている事象が本当に互いに独立しているかを検討することです。コインやサイコロのように独立した事象なら、過去の結果は忘れて、毎回同じ確率で考える必要があります。

一方で、すべての出来事が独立しているわけではありません。カードゲームでは、すでに出たカードによって残りのカードの構成が変わるため、次の確率も変わります。天気や試合の流れのように、前の状況が後に実際に影響を与える場合もあります。したがって大切なのは、結果を無条件に無視することではなく、結果同士に実際につながりがあるかを確かめる姿勢です。

また、わずか数回の結果だけで結論を出さず、十分な量のデータを集めて判断する習慣も役立ちます。損失を取り戻そうとして賭け金を増やす行動には、特に注意が必要です。あらかじめ使える金額とやめるタイミングを決めておき、結果がどうであれ、その基準を守ることが最も確実な防御になります。


ギャンブラーの誤謬は、ランダムなものの中にも秩序を見いだそうとする、人間の自然な心の働きから生まれます。しかし、確率は私たちの期待に合わせて動くわけではありません。この事実を知れば、宝くじや投資、日常のちょっとした選択でも、より落ち着いて判断できるようになります。

コインには記憶がないという事実を覚えておくこと。それが、偶然を前にして賢明な判断を下すための第一歩です。