今回は、規準という概念について見ていきます。規準とは、ある個人が検査で得た得点を他の人と比較する際に基準となる得点を意味し、集団内での相対的な位置を把握しやすいという特徴があります。
規準得点はz得点とも呼ばれることがあり、特定のデータ点が平均からどれほど離れているかを示す値です。本資料では、ここで用いられる集団内規準の3つの種類について見ていきます。
集団内規準とは?
得点データを得るために事前に行う検査
集団内規準とは、個人が得た素点を規準集団と容易に比較できるようにするものです。素点から得られる情報は順序尺度程度であるのに対し、規準得点は間隔尺度の性質を持つように変換して付与した得点です。
参考)名義尺度<順序尺度<間隔尺度<比率尺度
これに該当する規準得点(集団内規準)には、パーセンタイル得点、標準得点、標準段階があります。言葉だけで説明すると複雑になるため、図も用意しました。それぞれの得点について順に見ていきましょう。
1. パーセンタイル得点
パーセンタイル得点の概念図
パーセンタイル得点とは、素点を100個の等しい区間に分布させて換算得点を付与したもので、特定の集団内で個人がどの位置に属するかを示します。意味が単純でなじみやすいため、個人の相対的な位置が最もわかりやすい得点です。
上の図の例のように、素点が80点でパーセンタイル得点が75だった場合、その対象者より下位に75%の人がいて、上位に25%の人がいるということです。つまり、この例では上位25%に相当する得点を得たことになります。
2. 標準得点
標準得点(Z得点、T得点)の概念図
標準得点とは、対象集団の平均を中心として、標準偏差を単位に、分布上のどの位置に該当するかを示したものです。個人の得点が平均からどれだけ離れているかを表し、Z得点とT得点に分けられます。これに関する公式は、上の図に記載したとおりです。
Z得点は、素点を平均0、標準偏差1の数値に変換した得点を指し、 T得点は、負(-)の値を取るZ得点を補うために、平均50、標準偏差10の分布に変換したものです。
3. 標準段階
標準段階の概念図
標準段階とは、「Standard」と「Nine」を組み合わせた言葉で、Stanine尺度とも呼ばれます。すべての素点を1~9の段階に区分し、それぞれの該当する区間に割り当てたものです。
日常でよく見られる代表的な例として、学生が試験を受けて一定の得点を得た際に、大学修学能力試験の等級(1~9)や大学の成績評価(A~D)の区分に学生を振り分けることが挙げられます。このような段階評価の仕組みには、学生の得点が1~3点程度のわずかな差によって明暗を分ける場合に、その差を過大解釈することを防ぐ効果があります。
以上、標準化された心理検査の集団内規準の3つの種類について見てきました。これは統計知識の一部として、覚えておくと長く役立つ内容です。
補足として、集団内規準のほかに発達規準というものもあります。これは、検査者が発達過程のどのあたりに位置しているかを表すことで、素点に意味を与えるものです。
これには、検査項目が年齢水準別の尺度で構成される年齢規準、学年別の平均や中央値を用いる学年規準、行動を観察して発達段階上のどの位置に該当するかを把握する順序規準、各個人の身体的・精神的な発達の様子を追跡して発達曲線で示す追跡規準があります。
本資料で紹介した集団内規準とともに、発達規準も参考にして覚えておくとよいでしょう。本資料は統計学の集団内規準を基礎としていますが、ほかの統計知識を必要とする人にも役立つ内容なので、参考にしておくとよいでしょう。