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シャボン玉が虹色に見える理由、薄膜干渉

シャボン玉を吹くと、透明な膜の上をピンク色や緑色、青色の光が渦を巻くように流れていきます。雨上がりのアスファルトにできた水たまりに油が少しにじむと、虹色の染みができることもあります。石けん水も油ももともとはほとんど色がないのに、なぜこれほど華やかな色が現れるのでしょうか。

その秘密は絵の具や色素ではなく、光の性質にあります。ごく薄い膜の上の面と下の面でそれぞれ反射した光が重なり合うと、ある色は強まり、ある色は弱まります。この現象を「薄膜干渉(Thin-Film Interference)」といいます。膜の厚さが光の波長と同じくらい薄いときに起こる現象を指します。

この記事では、薄膜干渉が起こる基本的な原理と色を決める条件、シャボン玉や油の染みといった身近な例、そして眼鏡のレンズや自然の生き物に隠れている活用まで、順に見ていきます。


薄い膜がつくる光の色

二度反射する光

柔らかな日差しの下に浮かぶ大きなシャボン玉の薄い膜の上を、ピンク・緑・金色・青の虹色の帯が渦を巻くように流れる様子

薄膜干渉を理解するには、まず光が水面の波のように上下する波であることを思い出す必要があります。波は出会うと、足し合わされたり打ち消し合ったりします。

(1)上の面と下の面
光が薄い膜に当たると、一部は膜の上の面ですぐに反射し、残りは膜の中に入って下の面で反射してから再び外へ出てきます。そのため私たちの目には、出発点は同じでも通ってきた道が少し異なる二筋の光が一緒に届きます。

(2)強め合う干渉と弱め合う干渉
二つの光の山と山がそろうと光はより明るくなり、これを強め合う干渉といいます。反対に、一方の山がもう一方の谷と重なると光は互いに打ち消し合って暗くなり、これを弱め合う干渉といいます。薄膜干渉で見える色は、まさにこの二つが色ごとに異なる形で起こった結果です。

薄膜干渉が色を生み出す原理を示すインフォグラフィック。左側の断面図では、入ってきた光が薄い膜に当たり、一部は上の面で反射し、残りは膜の中に入って下の面で反射してから再び出てきて、二筋の光が目に向かいます。右側には、二つの波の山がそろって光が明るくなる強め合う干渉と、山と谷が重なって光が暗くなる弱め合う干渉が描かれ、いちばん下には色を決める条件として、膜の厚さ、見る角度、膜をつくる物質が書かれています。
薄い膜の上の面と下の面で反射した二つの光が重なり、色ごとに明るくなったり暗くなったりして虹色が現れます。

(3)波動説の証拠
薄い膜の色は、17世紀にロバート・フックとアイザック・ニュートンも観察していました。1800年代初めにトマス・ヤングがこの色を光の干渉として説明したことで、薄膜干渉は光が波であることを示す重要な証拠となりました。


色を決める条件

丸い針金の輪に張った石けん水の膜に、上から下へ横向きの色の帯がいくつも層になって現れた実験の場面

太陽の光にはさまざまな色の光が混ざっていて、色ごとに波長が異なります。膜の中を余分に通ってきた距離がどの色の波長と合うかによって、見える色が変わります。

(1)膜の厚さ
膜の厚さが変わると、二つの光の道のりの差も変わります。そのため厚さが均一でない膜では、場所ごとに強まる色が異なり、いくつもの色の帯ができます。

(2)見る角度
同じ膜でも斜めから見ると、光が膜の中を通る長さが変わります。シャボン玉をあちこちに回してみると色が変わって見えるのも、このためです。見る人が位置を変えるだけでも、同じ場所の色が違って見えることがあります。

(3)膜をつくる物質
光は物質の中で速度が遅くなるため、同じ厚さでも物質の屈折率によって道のりの差が変わります。また、屈折率がより大きい物質の表面で反射するとき、光の波は半波長分ひっくり返り、この効果もどの色が残るかに影響します。石けん水の膜のように空気に囲まれた膜では、上の面で反射した光だけがひっくり返るため、厚さがほとんどないときには二つの光が互いに打ち消し合います。


身近で出会う虹色

雨に濡れたアスファルトの水たまりの上ににじんだ薄い油の膜が、紫・青・緑・金色の虹色の模様をつくった様子

薄膜干渉は、実験室よりも日常生活の中でより頻繁に出会うことができます。共通しているのは、どれも光の波長ほどの薄い膜があるという点です。

  • シャボン玉(Soap Bubble):石けん水の膜は重力によって下へ流れ落ち、上の方から薄くなり、厚さが変わるにつれて色の帯が動きます。
  • 黒い膜(Black Film):膜が光の波長よりはるかに薄くなると、反射した二つの光が互いに打ち消し合って黒く見え、シャボン玉はこの頃まもなく割れます。
  • 油の染み(Oil Slick):水の上に広がったごく薄い油の膜が、厚さに応じて異なる色の模様をつくります。
  • ニュートンリング(Newton’s Rings):凸レンズを平らなガラスの上に置くと、両者の間の薄い空気の層によって同心円状の模様ができ、レンズがガラスに接している真ん中は暗く見えます。

技術と自然の中の薄膜干渉

明るい色の木の机の上に、反射防止コーティングレンズが入った眼鏡と、金属のように輝く青い翅を持つモルフォチョウの標本が並んで置かれた様子

人々は、光を打ち消したり望む色だけを強めたりする薄膜干渉の性質を、さまざまな技術に活用しています。自然の生き物も、昔から同じ原理を使ってきました。

(1)反射防止コーティング
眼鏡やカメラのレンズの表面には、ごく薄い膜が施されています。膜の厚さをちょうどよく合わせると、表面で反射する光が互いに打ち消し合い、まぶしさが減って、より多くの光がレンズを通り抜けます。コーティングされたレンズを斜めから見ると淡い緑色や紫色が映るのも、打ち消されずに残った一部の色の光が反射しているためです。

(2)厚さを測る道具
色が厚さによって変わるという点を逆に利用すれば、反射した光を分析して、目に見えないほど薄い膜の厚さを測ることができます。半導体をつくる工程でも、このような方法で膜の厚さを確認しています。

(3)色素のない色
モルフォチョウの翅や一部の昆虫の殻は、色素の代わりに薄い層が何枚も重なった構造によって輝く色を生み出します。このような色を構造色と呼び、その土台には薄膜干渉と同じ原理があります。


薄膜干渉は、目に見えない膜の厚さと光の波長が出会って色を生み出す現象です。シャボン玉の虹色と眼鏡のレンズのコーティングが同じ原理から生まれたという点は、とても興味深いものです。

見慣れた一つの色にも光がたどってきた道が隠れていると知ること、それが光の世界を探究する科学の第一歩です。

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