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一か所に集めて再び分ける、ハブ・アンド・スポーク(Hub-and-Spoke Model)

ソウルから釜山へ送った宅配便が、一晩のうちにまず京畿道のどこかに立ち寄ってから南へ下っていくことをご存じでしょうか。一見すると遠回りをしているようですが、全国の荷物を一か所に集め、行き先ごとに仕分け直して送るほうが、かえって速く安く済みます。この方式を支える物流設計こそが「ハブ・アンド・スポーク(Hub-and-Spoke Model)」です。

ハブ・アンド・スポークとは、簡単に言えば「複数の出発地の貨物を中心拠点(ハブ)に集めたあと、行き先ごとに仕分けて各地域(スポーク)へ送り出す輸送網の構造」を意味します。ハブは自転車の車輪の真ん中にある軸の部分を、スポークはそこから外側のリムへ伸びる細い棒を指す言葉で、輸送網を描くと車輪の形に似ていることから名付けられました。

本資料では、ハブ・アンド・スポークの基本原理から、フェデックスが示した最初の成功例、長所と限界、そして今日の宅配や航空の現場の姿までを順に見ていきます。

地点が全部で4か所のとき、すべての組を直接結ぶと6本、1か所をハブにして残り3か所と結ぶと3本になることを比べた図解。地域での集荷、ハブでの行き先別仕分け、地域への配送という流れと、効率および混雑のリスクを説明している。
4地点の直接接続とハブ接続の比較。nはハブを含む地点の総数で、方向を区別しない単純な接続数です。物量を集めて効率を高められますが、遠回りや混雑が生じることもあります。概念参考:FedEx公式のハブ仕分け施設資料。接続数は単純なネットワークモデルで計算。図解:雑学書庫。

一か所に集めて再び分ける輸送網の原理

ハブ・アンド・スポークとは何か?

明るい倉庫の壁に立てかけた大きな自転車の車輪の、中心のハブとスポークの横に、宅配の箱が真ん中の仕分け台に向かって列をなして置かれている様子

輸送網の組み方は大きく二つに分かれます。すべての地点を互いに直接結ぶ方式と、中央の拠点を経由して結ぶ方式です。

(1) ポイント・トゥ・ポイント(Point-to-Point)
出発地から目的地までまっすぐ向かう直行方式です。乗り換えや積み替えがないため速いものの、地点が増えるほど結ぶべき路線が急速に増えます。地点がnか所なら、すべての組を結ぶにはn × (n - 1) ÷ 2本の路線が必要です。

(2) ハブ・アンド・スポーク(Hub-and-Spoke)
すべての地点をハブ1か所とだけ結ぶ方式です。地点がnか所なら、路線はn - 1本で足ります。4都市を例にとると、直行方式では互いを結ぶ路線が6本必要ですが、1都市をハブにすれば残り3都市と結ぶ3本の路線で済みます。たとえば100か所を結ぶなら、直行方式では4,950本の路線が必要ですが、ハブ方式なら99本ですべての地点間を行き来できます。

路線が減れば、必要な車両や飛行機、人員も減ります。その代わり貨物のほとんどは一度ハブを経由しなければならないため、ハブでどれだけ速く正確に仕分けられるかが輸送網全体の成否を左右します。そのためハブでは、入ってくる車両と出ていく車両の時刻をきめ細かく合わせ、貨物が長くとどまらずにすぐ次の路線へ移れるように運営されています。


フェデックスが証明した翌朝配達

夕暮れの空港駐機場に止まった1970年代風の白い小型ジェット機に、作業員たちが台車に載せた小さな小包の箱を貨物ドアへ運び込んでいる様子

ハブ・アンド・スポークの力を世に広く知らしめた企業は、アメリカのフェデックス(Federal Express)です。創業者フレデリック・スミス(Frederick W. Smith)は、イェール大学の学部時代に航空貨物輸送の非効率を分析した課題レポートで、この会社の青写真を描いたと言われています。

1973年4月17日、フェデックスはテネシー州メンフィスをハブとして営業を始めました。その夜、従業員389人と小型ジェット機14機が、アメリカの25都市へ小包186個を配達しました。各都市で集めた小包を夜のうちにメンフィスへ運んで一斉に仕分け、明け方に再び目的地の都市へ飛ばして朝に配達する仕組みでした。最初の数年は赤字を免れませんでしたが、1975年7月に初めて黒字を出し、翌朝配達という新しい市場を切り開きました。

  • 地理的中心(Central Location):メンフィスはアメリカのほぼ中央にあり、どの都市へも飛行距離がまんべんなく短くて済みました。
  • 天候条件(Weather Reliability):メンフィス空港は悪天候で閉鎖されることがまれで、毎晩決まった時刻表を守りやすかったのです。

ハブ・アンド・スポークの長所と限界

夜に見下ろした大型宅配仕分けハブで、茶色の箱を載せた長いベルトコンベヤーが何方向にも分かれ、安全ベストを着た作業員たちが流れを見守っている様子

ハブ・アンド・スポークは、1978年にアメリカで航空規制が緩和されたあと、大手航空会社がこぞって取り入れたことで標準のように定着しました。それだけはっきりした長所がある一方で、避けがたい弱点も併せ持っています。

(1) ハブ・アンド・スポークの長所
複数の地域の少ない物量をハブに集めれば、大型の車両や飛行機を満載にして送り出せるため、1個あたりの輸送費が下がります。また路線が単純なので、新しい地域を加えるときもハブと結ぶ道を1本新しくつくればよいのです。

(2) ハブ・アンド・スポークの限界
近い2地点の間を行き来する貨物もハブまで回り道しなければならず、移動距離と時間が増えます。すべての流れが一か所に集中するため、ハブが混雑したり、大雪や停電、故障で止まったりすると、輸送網全体が一緒に止まってしまいます。そのため需要の多い区間には直行路線を組み合わせたり、ハブを複数置いてリスクを分散したりもします。


今日の宅配と航空の中のハブ

晴れた朝の大きな国際空港で、円形のターミナルの周りに白い旅客機が何機も搭乗橋に接続し、外へ伸びる滑走路では別の飛行機が動いている様子

韓国の宅配便もほとんどがこの構造で動いています。ドライバーが地域で集めた箱は近くのサブターミナルを経て夜のうちにハブターミナルへ集まり、地域ごとに分けられたあと、再び目的地のサブターミナルを経て玄関先に届きます。

  • メガハブ(Mega Hub):CJ大韓通運が2018年に京畿道広州に開いた昆池岩(コンジアム)メガハブターミナルは、延床面積約30万平方メートル、仕分け用コンベヤーの長さ約43キロメートルで、1日に175万個ほどの箱を処理できると言われています。
  • ハブ空港(Hub Airport):大手航空会社は仁川、ドバイ、フランクフルトのような空港をハブとし、複数の都市の乗客を集めて乗り継がせます。
  • 積み替え港(Transshipment Port):釜山港のような大きな港は、さまざまな国から来たコンテナを降ろして別の船に積み替える、海のハブの役割を果たしています。
  • 直行戦略(Point-to-Point Strategy):アメリカのサウスウエスト航空のように、ハブを経由しない直行便を中心に運航して成功した格安航空会社もあります。

ハブ・アンド・スポークは、散らばった貨物を一か所に集めて仕分けたあと、再び分けて送り出す輸送網の構造で、路線とコストを大きく減らす代わりに、一つのハブに大きな負担をかけます。フェデックスの翌朝配達から始まったこの設計は、今日も宅配の箱や飛行機の乗り継ぎの中で毎日動いています。

最も短い道より、最もよく集まる道を先に見つけること、それこそが効率的な輸送網設計の第一歩です。