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深い味わいの正体、うま味(Umami)

昆布だしや完熟したトマト、長期間熟成させたチーズを味わうと、塩辛い、甘いといった言葉だけでは説明しにくい、深く濃厚な味が舌に残ります。韓国語でよく「うま味がある」と表現する、まさにあの味です。

うま味とは、簡単にいえば「グルタミン酸のようなアミノ酸や一部の核酸成分が生み出す、だしの深みや風味を感じさせる味」を意味します。国際的には日本語に由来するUmamiという名称で呼ばれ、甘味・塩味・酸味・苦味に続く、第五の基本味として認められています。

本資料では、うま味がどのように発見されたのか、どんな成分がこの味を生み出すのか、私たちの体はなぜこの味を好むのか、そして調味料をめぐる誤解や健康的な活用法まで、順に見ていきます。


うま味の理解と活用

昆布だしから見つかった第五の味

澄んだだしの入った椀と乾燥昆布が置かれた木の食卓

うま味の正体を初めて明らかにしたのは、日本の化学者、池田菊苗です。彼は、妻が作った昆布だしの独特な味が、従来の四つの味とは異なることに注目しました。

1908年、池田は昆布のこの味を生み出す成分が、グルタミン酸というアミノ酸であることを突き止め、「おいしい」という意味の日本語にちなんで、その味を「うま味」と名付けました。翌年には、グルタミン酸ナトリウム(MSG)を調味料として製造・販売し始めました。

しかし、欧米の学界では長い間、うま味を独立した味として受け入れませんでした。1985年にハワイで開かれた国際シンポジウムで、Umamiが学術用語として使われ始め、2000年代初めに舌でうま味を受け取る受容体が確認されたことで、ようやく第五の基本味として定着しました。


うま味を生み出す三つの成分

リネンの布の上に整然と並べられた干しシイタケ、煮干し、昆布

うま味は一つの成分だけでなく、いくつかの成分が一緒になって生み出します。その代表的なものが、次の三つです。

(1)グルタミン酸(Glutamate)
タンパク質を構成するアミノ酸の一つで、昆布・トマト・熟成チーズ・しょうゆ・テンジャンに豊富に含まれています。タンパク質に結合していない遊離グルタミン酸が、うま味を生み出します。遊離グルタミン酸はトマトなどにもともと存在し、熟成や発酵によって増えることもあります。

(2)イノシン酸(Inosinate)
1913年に池田の弟子である小玉新太郎が、かつお節から発見した核酸成分です。牛肉・豚肉などの肉類や、煮干しなどの魚に多く含まれています。

(3)グアニル酸(Guanylate)
1957年に國中明が明らかにした成分で、干しシイタケに特に多く含まれています。

興味深いのは、グルタミン酸と核酸成分を一緒に使うと、うま味が何倍にも強まることです。これを、うま味の相乗効果(Umami Synergy)といいます。昆布と煮干し、昆布とかつお節でだしを取る昔ながらの調理法には、こうした科学が隠されています。

昆布・トマト・熟成チーズの遊離グルタミン酸に、だし用の煮干し・かつお節のイノシン酸(IMP)、または干しシイタケのグアニル酸(GMP)が加わると、うま味が強まる相乗効果を説明した図。
うま味の相乗効果:遊離グルタミン酸と、イノシン酸(IMP)またはグアニル酸(GMP)が一緒に存在すると、うま味がより強くなります。図に示した食品は各成分の代表例であり、その食品にその成分しか含まれていないという意味ではありません。効果の大きさは、成分の濃度や比率、料理によって異なります。資料:Umami Information Center、Zhangほか(2008)。
出典: Umami Information Center · Zhangほか(2008) ・雑学書庫制作

私たちの体がうま味を好む理由

日差しが差し込む窓辺のまな板に置かれた完熟トマトと熟成ハードチーズ

舌には、うま味を感知する受容体(T1R1とT1R3が対になった受容体)があります。この受容体はグルタミン酸に反応し、うま味の信号を伝えます。食品のタンパク質含有量を直接測定するわけではありません。

甘味がエネルギー源となる炭水化物の存在を知らせるように、うま味は体をつくるために欠かせないタンパク質を見つける信号として進化したと考えられています。実際、母乳には遊離グルタミン酸が豊富に含まれているため、赤ちゃんは生まれてすぐにうま味を経験することになります。

うま味には、唾液や消化液の分泌を促し、食事の満足感を高める働きもあります。そのため、食欲が落ちた高齢者の食欲を回復させる方法として研究されることもあります。

また、うま味は舌だけでなく、胃や腸でも感知されることが知られています。食べ物が入ってきたという信号が消化器官に伝わると、体はタンパク質を受け入れる準備を始めます。うま味は単なる味にとどまらず、消化や栄養摂取の流れ全体につながっているのです。


調味料に対する誤解と健康的な活用

テンジャンとしょうゆがそばに置かれ、だしが煮立っている鍋

グルタミン酸ナトリウムは、かつて頭痛や動悸を引き起こすのではないかと疑われました。しかし、その後のさまざまな研究では、通常の摂取量で明確な関連は確認されておらず、国際食品添加物専門家会議(JECFA)や米国食品医薬品局(FDA)も、安全な成分と評価しています。

うま味を上手に活用する方法
  • 減塩(Sodium Reduction):うま味を活用すると、一部の料理では、塩を減らしながら好ましさを保つ助けになる可能性があります。結果は材料や配合によって異なります。
  • 天然素材の活用(Natural Ingredients):昆布、煮干し、シイタケ、トマトのように、うま味が豊富な材料でだしを取ると、調味料を使わなくても深い味わいを出せます。
  • 熟成と発酵(Aging and Fermentation):テンジャン、しょうゆ、キムチのように、時間をかけて熟成させた食品は、タンパク質が分解されることでうま味が増します。
  • 適量の使用(Moderation):MSGに含まれるナトリウムは、同じ重さの食塩に比べて約3分の1と少ないものの、調味料にもナトリウムは含まれるため、味を補う程度に少しずつ使うのがよいでしょう。

つまり、うま味は避けるべき味ではなく、よく理解して活用すれば、食生活をより健康的で豊かにしてくれる味なのです。


うま味は、池田菊苗が昆布だしから見いだしたグルタミン酸を出発点に、イノシン酸とグアニル酸の発見、舌の受容体の確認を経て、第五の基本味として認められました。その根底には、タンパク質を見つけ出そうとする、私たちの体に古くから備わる知恵があります。

ひとさじのだしに込められた深い味わいの理由を知ること。それが、うま味を理解するための食品栄養学の第一歩です。