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性格のせいだという思い込み、根本的な帰属の誤り(Fundamental Attribution Error)

待ち合わせに20分も遅れた友人を見ると、「もともと時間にルーズな人だ」と真っ先に思ってしまいます。ところが、自分が遅れたときには、道が混んでいた、バスが遅れて来た、出かける直前に急な電話がかかってきたという事情が先に浮かびます。このとき、友人が置かれた状況を十分に考慮せず、性格のせいだと過度に説明する傾向が「根本的な帰属の誤り(Fundamental Attribution Error)」です。自分の行動と他人の行動を異なる仕方で説明する傾向である「行為者・観察者バイアス」とは区別する必要があります。

根本的な帰属の誤りとは、簡単にいえば「他人の行動を見るとき、その人が置かれた状況の力を小さく見積もり、性格や態度といった内的な特性の影響を大きく見積もる傾向」を意味します。1977年に米国スタンフォード大学の心理学者リー・ロス(Lee Ross)がこの名前を付け、社会心理学の出発点となる概念だと評価しました。

本資料では、帰属の意味とこの誤りを最初に明らかにした実験から、誤りが生じる仕組みや日常の事例、さらに文化による違いと減らす方法まで、順に見ていきます。

根本的な帰属の誤りの説明図:遅れた友人を無責任だと決めつけ、性格の影響を過大評価する判断と、バスの遅延や急な連絡など、考えられる状況も併せて確認する判断を比較し、行動を観察し、状況を確認し、複数の事例から判断するという順序を示している。
根本的な帰属の誤り:他人の行動を見るとき、性格の影響を過大評価し、状況の影響を過小評価しがちです。図は架空の例です。出典:Gilbert & Malone(1995), The Correspondence Bias, Psychological Bulletin 117(1), 21–38。 原文を見る

他人の行動を性格で読み解く心の習慣

根本的な帰属の誤りとは何か?

明るいカフェの窓際の席で、先に来ていた友人が腕時計を見ており、遅れて到着した人が携帯電話を手に慌てて入ってくる様子

帰属(Attribution)とは、ある行動や出来事の原因を何に求めるかを判断する過程です。オーストリア出身の心理学者フリッツ・ハイダー(Fritz Heider)は、1958年、人は素朴な科学者のように常に原因を探していると考え、その原因を大きく二つに分けました。

  • 内的帰属(Dispositional Attribution):行動の原因を、性格、能力、態度など、その人の内側に求める判断です。
  • 外的帰属(Situational Attribution):行動の原因を、天候、規則、他人からの圧力など、外側の状況に求める判断です。

根本的な帰属の誤りは、他人の行動を説明するとき、この天秤が内的帰属の側に過度に傾く現象です。同じ現象を、ハーバード大学のダニエル・ギルバート(Daniel Gilbert)は「対応バイアス(Correspondence Bias)」とも呼んでいます。行動を見ると、それにぴったり対応する性格があると、すぐに推測してしまうという意味です。


誤りを明らかにした二つの実験

昔の大学の心理学実験室で、学生たちが木製の机に座って文章を読み、鉛筆で評価用紙に記入している様子

この傾向が驚くべきなのは、人が状況の力をはっきりと理解しているときでさえ現れる点です。代表的な二つの実験が、それをよく示しています。

(1)カストロ論文実験(1967)
エドワード・ジョーンズ(Edward Jones)とビクター・ハリス(Victor Harris)は、参加者にキューバの指導者フィデル・カストロを支持または批判する文章を読ませました。書き手は立場を自分で選んだのではなく、指定されたとおりに書いたと伝えたにもかかわらず、参加者は、支持する文章を書いた人は実際にもカストロをより好んでいると判断しました。

(2)クイズ出題者実験(1977)
リー・ロスとその同僚たちは、参加者を無作為に出題者と回答者に分けました。出題者は自分のよく知っている分野から問題を出すため、有利なのは当然でしたが、回答者と観察者は、出題者のほうが博識だと評価しました。役割によって与えられた有利さを、その人の実力だと思い込んだのです。


身近な例で理解する根本的な帰属の誤り

日差しの差す大学キャンパスの道を、シャツ姿の若い男性が時計を見ながら急いで歩いており、後方の出入り口では、ある人が壁にもたれて座り込んでいる様子

この誤りは実験室の外、私たちが毎日出会う場面で、さらに頻繁に現れます。

[事例1]急いでいた神学生たち

1973年、ジョン・ダーリー(John Darley)とダニエル・バトソン(Daniel Batson)は、神学生たちに別の建物へ行って講演するよう指示しました。その途中には、倒れてうめいている人がいました。時間に余裕があると伝えられた学生は約63%が助けましたが、遅れていると急かされた学生は約10%しか立ち止まりませんでした。助けるかどうかを分けたのは、信仰心や人柄よりも、「どれほど忙しいか」という状況でした。

[事例2]割り込んできた車と不親切な店員

突然割り込んできた運転手を見ると、無礼な人だと決めつけがちですが、その人は病院へ急いでいたのかもしれません。ぶっきらぼうな店員も、一人で十人の客に対応していたところかもしれません。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。他人を見るとき、目に入るのはその人自身であり、その人を取り巻く事情はよく見えません。ギルバートは、私たちはまず行動を見て、ほぼ自動的に性格を推測し、その後、余裕があるときだけ状況を検討して判断を修正するのだと説明しました。疲れていたり忙しかったりすると、この最後の修正段階を飛ばしてしまいます。

反対に、自分の行動を見るときには、自分を取り巻く事情がよく見えるため、状況のせいにしがちです。このように他人と自分を異なる仕方で説明する傾向を「行為者・観察者バイアス(Actor-Observer Bias)」と呼びますが、2006年のあるメタ分析では、この差は考えられていたほど大きくないという結果も出ており、現在も研究が続いています。


文化による違いと誤りを減らす方法

明るいオフィスの木製のテーブルに向かい合って座り、一人が身ぶりを交えて事情を説明し、もう一人が理解を示す表情で耳を傾けている様子

根本的な帰属の誤りの大きさは、文化によっても異なります。1984年のジョーン・ミラー(Joan Miller)の研究では、米国人は年齢が上がるほど他人の行動を性格で説明する傾向が強まりましたが、インド人は状況や関係性をより多く挙げました。1994年、マイケル・モリス(Michael Morris)と彭凱平(Kaiping Peng)は、1991年に米国で起きた二つの銃撃事件の報道を比較し、英語の新聞は犯人の性格を、中国語の新聞は犯人が置かれた状況をより強調していたことを明らかにしました。

(1)まず状況を思い浮かべる
誰かの行動が気に障ったときには、「あの人があのように振る舞う事情は何だろう」と、一つだけでも思い浮かべてみましょう。

(2)相手の立場で考える
自分が同じ状況にいたらどうしただろうと問いかけるだけでも、判断はずっと寛容になります。

(3)一度の行動で決めつけない
さまざまな状況で繰り返し見られる姿を確かめてから、その人の性格を判断しても遅くはありません。


根本的な帰属の誤りは、他人の行動において性格の影響を大きく、状況の影響を小さく見る、自然な心の習慣です。この習慣は判断を速めてくれますが、誤解や早まった非難、不公平な評価につながることもあります。特に採用面接や人事評価のように人を判断する場では、小さな誤解が大きな結果を招くことがあります。

他人の失敗を目にしたとき、その人が置かれた状況をもう一度見つめること。それが、人と関係を守る公正な判断への第一歩です。